緋色の囁き

緋色の囁き (講談社文庫)

緋色の囁き (講談社文庫)

囁きシリーズ第1弾。昔新書版を持ってたけど、何故か手元に無かったので古本屋で文庫本を買った。うーん懐かしい。
舞台は全寮制の名門女子高。読んでて、松本洋子の漫画を思い出した…雰囲気がすごく似てて、読んでてわくわくしたなあ。女王とでも言うべきお嬢様がいて、とりまきがいて、主人公は転校してきて…凄惨な事件が起こる…という。んでもって主人公の親族が理事長っていうね。教師にもひどく厳しい人がいたり。そして主人公を助けようとする殿方もいる。こういう設定大好き(笑)。
囁きシリーズは、文章の合間合間に謎の言葉が挟まれてて、深い記憶の底にあるものが浮び上って出てきている、という(本人は覚えていないので分からない、というか多分意識すらしてない)…これが何とも絶妙のタイミングで挟まれてくるので、綾辻氏はやっぱいいわあと思うんだよなあ。
この話での「囁き」のキーポイントは「血」。誰の記憶か、てのが犯人に繋がるんだが…まさかの犯人、まさかの真相だったわ。しかもラストはホラー色全開で終わる…じわじわくる怖さだ…。事件は解決したけど、この先の明るい未来は全く見えない。救いがない。
よく、幽霊や妖怪よりも怖いのは人間、てなことを聞くけれど、このラストのようなことがあるから、そういう考えが生まれるのだろうなと思った…ほんとぞっとするわ…。
1988年10月刊行。