最近読んだ二冊

詩的私的ジャック (講談社文庫)詩的私的ジャック」 森博嗣
作品を読めば読むごとに、ミステリとしての面白さが無くなっていくような気がするのは気のせいかな。今回は「トリックどうでもいいから犀川と萌絵を出せ」ってずーっと思いながら読んでた(苦笑)。
とは言え、シリーズは今後も読み続ける。なんなんでしょ、この引力は。それは多分、私が理系の人間でなくて、ストーリー中に出てくる専門用語に惹かれるからなんでしょね。苦手だからむしろ、みたいな。それと、犀川と萌絵の微妙〜な関係がどうなるのか、というか二人の会話が気になるから、てのもあるかな。関係ないけど、萌絵のファッションセンスってどうなんでしょね。書かれてるような奇抜なファッションだと、美人も台無しなんじゃないですかね。
読み終えて感じたことは、今回の話は「完全な」理系人間であるということに、色々な物事の理由をこじつけているような気がした。特に、萌絵が同性愛を否定した時。聞く人が聞いたら、心をえぐるようなセリフだった。萌絵を見る目がちょいと変わったかも知れないな。ま、それでも好きだけどさ。
作中でプッと笑い、同感したのは「禁煙車があるなら、禁話車もあるべきだ」(ディティールは違う)という犀川の思い。ほんと、これは作って欲しいね(笑)。


13階段 (講談社文庫)13階段」 高野和明
……久し振りにすごいものを読んだ。この読後感は快感とも似てる(言いすぎ)。
とは言え、内容はめっちゃくちゃ重たかった。頭の中をまとめられなくて、とてももどかしい……嗚呼。とにかくオススメだ、これは。
で、これ映画で実写化したんだったな、ということを思い出してキャストを調べてみた。ま、全体的にはいい感じかなーと思ったけど、……ツルベが杉浦弁護士だとー!? みたいな。これは解せん。東野氏の「悪意」をカンペーが演じると聞いたときも「うわー…」と思ったんだけど、何で? というようなキャスティングをされると、何だか萎える。実写化されたものを見たことなくても、原作の印象が悪くなるというか。作者は全然関係ないのにねー…。そこらへん、キャスティングには最良のパワーを使って欲しいな、なんて思った。