館シリーズ感想(四冊分)

十角館の殺人 (講談社文庫)十角館の殺人」 綾辻行人
館シリーズ第一作目。友人が教えてくれたことをきっかけに知った作家さんなのですが、あっさりとハマった記憶がございます(笑)。表現の仕方とか、伏線のはりかたとかがツボをぐいぐい押される感じです。しかし、一作目でこんなに書けるなんてすごい。
このお話は、孤島に大学ミステリ研究会の七人が訪れ、次々に彼らが殺されてゆくのですが。彼らはお互いに外国人作家の名前を自分につけて、そのニックネームで呼び合っているので、最後に被害者の名前(本名)が出てきたときは、何だかこう…ぞっとしました。起こったことのリアルさを感じたからかしら…。
物語の構成は、孤島と陸が交互に出てくるのですが…これが結構なポイントで。書き方が上手いなぁ…としみじみと思いました。トリックもすごい(すごいってどうやの/苦笑)し、話の終わり方も印象的でした。


水車館の殺人 (講談社文庫)水車館の殺人」  綾辻行人
館シリーズ第二弾。十角館では孤島と陸の話が交互に出てきましたが、この作品では過去の話と現在を交互に読む形でした。一年前の話と現在が繋がってるからなのでありますが、やはり、上手いなぁと心底感じました。…逆に、自分の感想は上手くないと感じる今日この頃(がくり)。感想文というより読書記録ですなぁ…_| ̄|○
終盤にドンデン返しがありますが、ほんとに驚きました。伏線とか多くあったのに、気付かなかったから(笑)。でも、そもそも伏線は「あ、これ伏線だな」って思わないよね……と自分を励ましてみる。ま、それはそれとして。いつもはミステリを読んだあとに、伏線チェックなどをしないのですが、さすがにこれはしました。見つけるたびに、ミステリの醍醐味はこれだよな! なんて思ってみたり。
この物語には、由里絵という美少女が出てきますが。すべて読み終えて、この女性には好感が持てないなぁ、と思いました。ネタバレしそうだから多くは書きませんけれど…。
こちらも、ラストが印象的でした。最後の最後にゾッとさせられました。そんな『幻影群像』に私が描かれていたならば、どんなだろう。見るのが怖いですが。


迷路館の殺人 (講談社文庫)迷路館の殺人」 綾辻行人
館シリーズ第三段。読了後に思ったことは、最初から作者に騙されてた!ということでした。びっくり。で、びっくりした後は、笑ってしまいました(笑)。
そしてこの作品も、ドンデン返し…があります。終わった…と思ったら、まだ終わってなかったという。
迷路館、というだけに、舞台は迷路な館です(そのまんまやし)。各部屋までの道のりが迷路。こんな舞台設定、綾辻さんじゃなきゃ許されないよな(笑)。さらに、この迷路館は地下にあるので、それだけに話が進んでゆくごとに不気味さが増していくような気がしました。
で、一番恐かったのが、一番最初に殺された須崎の殺され方です。こんな殺され方、ごめんです(苦笑)。殺され方、というか殺された後の姿が…。
館シリーズには探偵役として、島田潔という人物が出てくるのですが、私はあまり好きではない、この人。なんかなぁ…、以前我孫子氏の「8の殺人」の感想に、探偵役の登場人物が嫌いだと書きましたが、その理由とちょっと似てます。


人形館の殺人 (講談社文庫)人形館の殺人」 綾辻行人
館シリーズの第四作目。多くは語るまい。話しすぎるとボロが出そうで。
そう思ってしまうほど、これまでの館シリーズの中では、異質な話でした。
どんなミステリでもそうだけど、この手の結末は読後感が悪いです。でも面白かった(おい)。