蟲師1〜2

蟲師 (1)  アフタヌーンKC (255)

蟲師 (1) アフタヌーンKC (255)

アニメが素晴らしいと評判の漫画だね。私もすごい好きだ。静寂と世界の表現が半端ない。
なので一話一話感想文を書くッ。
【緑の座】
ギンコが何か幼いな(笑)。それはともかく。第一巻の最初の話としては申し分のない内容ではないかと! セリフは多すぎず少なすぎず。しかし読む者の「蟲」を理解させたり感覚的に分かったようにさせるのがすごい。
出てくるのは、左手で何かを描くとそれが生命を持ってしまうという性質を持つ少年と、その蟲とヒトとの間の存在となってしまった彼の祖母(娘の姿だけど)。
【柔らかい角】
しょっぱなのモノローグ(じゃないか)がすごい。これで引き込まれた。阿と吽という蟲の話。吽は音を食べ、阿は無音を食べる。出てくる子は阿に寄生され、四六時中蟲の音が聞こえるという。母親はそれにより衰弱して亡くなっている。一見悲しい話だけれど、ラストがまたいい。好き。母とずっと同じ音を聞いてた、ぞっとするくらいきれいな音、と。少年の言葉が良かった。
【枕小路】
悲しい話だった・・・。予知夢を見ているのかと思いきや、見た夢を現実化させる蟲が寄生していた、という。対処法もなく、宿主を苦しめ続ける・・・。結果的に夢は見なくなったが、その人の最期がまた・・・。
【瞼の光】
闇の中で見える光の河。生命の源。どんだけきれいなんだろう。何だか、蟲に寄生されているのが幼い子だと、何だか切ない気持ちになる。蟲は悪意をもっているわけじゃない、ていうのが何だか・・・。
【旅をする沼】
タイトルが好きだ。途中まではやはり、悲しい流れだったけれど。この話から出てきた化野先生、結構好き(笑)。
蟲師 (2)  アフタヌーンKC (284)

蟲師 (2) アフタヌーンKC (284)

あとがきの神棚にまつわるマンガが面白かった(笑)。神様可愛い(笑)。
【やまねむる】
山のヌシと、山にいる蟲師(じいさん)の話。ムジカ(そのじいさん)の最期の表情が何とも言えない・・・。なんというか、自然は凄まじすぎるという印象が残ったお話。あと、「美事だ」ていうギンコのせりふが何か好き。
【筆の海】
この話好きだ。少女ながら達観した性格の淡幽(書物に「書く」ことにより蟲を封じる子)がいい。ギンコとの関係性もいいね。必ずしも殺生をしないギンコと話す淡幽は年相応で微笑ましいね。「文字の海に溺れるように 生きている娘が一人いる」て出てくるんだけども、これがすごく好き。話の中では必ずしも良い意味で使われているわけではないけれど。そして蟲の封じ方。何という・・・。体中に文字が浮かび上がるなんて。
【露を吸う群】
悲しい話だこれも。「生き神」とされる少女・あこやの話。父親の話も悲しいけど、彼女の「あてどない膨大な時間に足がすくむ」ていう言葉がまた重い。一生が一日、という蟲と共生(じゃないかな・・・)してきた彼女にとって、ギンコが蟲をとってくれた後に言った言葉。あこやはマイナス方向で言ったけども、ギンコは最後にそれを良い意味で言った。時間の感じ方について、はっとさせられる場面だったなあ。
【雨がくる虹がたつ】
シリアスな話だった。でもこの話に出てくる青年の父親が言った「俺の見たこの世で一番美しいものの名を お前にやりたかった」という言葉が涙を誘うじゃないか。しかし、この名前で苦しんでいる息子のために新しい名を考えたと。その後の息子が言う「そんな事・・・言うなよ 俺・・・負けねえから・・・」の言葉もまた(涙)。結局現状では負けてしまってる青年だけど、ラストでは名前やその他のプレッシャーを乗り越えたのがわかり、もやもやが解消された気がしたなあ。
【綿胞子】
ギンコの蟲に対する接し方がちょっと見て取れる話。ただ、この話は関わった人間に苦しみを与えるだけだったけれど。これ、私には想像もできないけど、世の母親が見たらどう感じるんだろうか。考えたくもない残酷な蟲だよな。・・・でも、関わってしまったヒトは不運だっただけで、蟲に悪意は無いんだてのがまた。