蟲師

蟲師 (3)  (アフタヌーンKC)

蟲師 (3) (アフタヌーンKC)

表紙のギンコがいいね〜。てか、カラーページの雰囲気が好きすぎてどうしよう。
【錆の鳴く声】声は古い字なんだ・・・。
この漫画に出てくる少女てのは、何であんな物憂げな雰囲気な子が多いのだろう・・・。切なくなってくる・・・。
村人に錆が出るのを自分のせいだと知っていながら村に住み続け、その代償として何年も声を出さないことを決めてそれを実行しているとか・・・。
結果錆を散らすことに成功したけれど、彼女の声はつぶれてしまった。・・・それにしてもこの漫画は蟲を責める宿主ていうのがあまりいないね。そこがまた好きなんだけど、切ないわ。
【海境より】
ここにもまた物憂げな青年が。三年に一度という、稀なタイミングに言い争いをしてしまった夫婦の話。生き別れた・・・てのが正しいのかなあ。何とも・・・。
【重い実】
いまさらながら、タイトルセンスもすごいよな。日本語が好きになる漫画かも知れん。
この話好きだ。豊かではない土地ながら、そこを愛する男が豊穣と人一人の命の選択を思い悩む。結果最後は自分、と決めたけれど、ギンコの考えによって命を再び得られることを知る。しかしその命は永遠・・・どうするか、と。「考えたところで 答えなど決まっている」てのが男の答え。ここもいいけど、死んでしまった女房との語らいのシーンがぐっときたな。その後の男のモノローグが痛々しかったけれど・・・。
話の締めは結構好きだ。昔話っぽくて。
【硯に棲む白】
物語としてはそれほど切なくもない。やはりタイトルがいいなあ。人に寄生した話、というよりは自然現象と蟲を混じり合わせたお話、かな?
【眇の魚】
ギンコがギンコになる始まりの話、かな。違うな、始まりではないわ。ギンコが幼い頃のお話。
ぬいの「畏れや怒りに目を眩まされるな 皆 ただそれぞれが あるようにあるだけ」これ好き。蟲のことと、蟲に対するあり方を言ってる。ギンコが蟲を殺すことを目的としない蟲師をしているのは、これなんだなと。
それにしても、ぬいがたった一人で「そこに」住んでいる理由が悲しすぎる。その姿も。
ずいぶん前に読んだ時は、この話よくわからんと思ったけど、感想や理解度って変わってくもんだなあ、と思った。
蟲師 (4)  (アフタヌーンKC)

蟲師 (4) (アフタヌーンKC)

【虚繭取り】
「閉じてはならん 開けてはならん」のウロさんの話。少女・澪が無数の虚をギンコに見せられて絶望を感じるシーンはとても可哀相だった・・・。ただでさえ、いつも一緒だった緒ちゃんがウロに連れてかれてしまったのも、ほんっの些細な偶然だったのに。彼女を誰も責められない、どうしようもないことだったのに。でも、ラストで救われたな。大手を上げて喜べないことではあるけれど、あそこから出られたなんて奇跡。
【一夜橋】
結構好きな話・・・ものすごい落ちるラストだけど!! ラストシーンがもうね・・・。ああ・・・。
【春と嘯く】
タイトルありきで作ったお話とのこと(笑)。いいね、何だか。でもこのミハルという少年、「人に知られると面倒だから」なんて子供が言うせりふじゃないよ! 精神が大人だな・・・蟲に対しては無邪気なのかも知れないけれど。最後の「雪路に灯る家のあかり それらは逃れ難く長居を誘う けものも虫も 人も同様」て好き。何でこんな文章が出てくるんだろう。その感性と言葉にできることがすごく羨ましい。
【籠のなか】
出てくる青年、救われたんだかそうでないんだか何とも言えないな・・・。てか、竹の生態についてこれで初めて知った。そうなんか、なるほどだから竹林になるのか。
キスケとセツが、互いに思う気持ちが切ない話だ。特にセツ。人と蟲の間の者ながらも、女は強ぇなあと感じた。
【草を踏む音】
これはほんの少し異色な感じ。ギンコメインでないし。でも地味〜〜に良い話だわ。
蟲師 (5)  (アフタヌーンKC)

蟲師 (5) (アフタヌーンKC)

【沖つ宮】
人気のある話みたいだね。「生みなおし」のお話。ここに住む人たちは、これで本当に幸せなのか。いや、幸せなんだろうな。母の生みなおしであるイサナの言葉「生きた全部を誰かにあげるくらいなら 母さんのまま死んでしまうほうが まだいい」てのがいい。私もそう思う・・・。
【眼福眼窩】
目の話って結構多いね。ギンコも片目だし。目に蟲が宿り千里眼になってしまった女の子の話。泣きぼくろすら何か物悲しい、なぜだ。目を瞑っていても見えてしまうけれど、ずっと目を閉じていることが多くなったと。何とも・・・。ギンコは最後のシーンで何を思っていたんだろう、というのがすごく気になる。
【山抱く衣】
ふるさとを焦点にした話。いいね、あったかいね。あと、衣の裏に絵を描くてのが素敵。
【篝野行】
タイトルのカラーイラストがたまらん。ギンコ以外の蟲師(女性)がメイン、かな。笑顔を見せない、すごくクール・・・というか暗い感じの女性。村の人たちには慕われている。けど、あまり私は好きではないなぁ、この人。て、どうでもいいかそんなこと(笑)。
【暁の蛇】
ここにも精神が大人びた少年が一人・・・ああ・・・。母親が、記憶を食う蟲に寄生され、子供ながらに心配りを。可哀相だけど、この親子関係にちょっとほのぼのとしたものを感じてしまった。ううむ。夫や子、ご飯のことは忘れないものの、いつか忘れそうで怖い、そして忘れたことを忘れてしまうのがもっと怖い、と母親自身も悩んでいたけれど、結果的には・・・。それで良かったと思わせるというか・・・この言葉がずっしりと効いてくる。
蟲師 (6) (アフタヌーンKC)

蟲師 (6) (アフタヌーンKC)

【天辺の糸】
良い話だったなあ。こちらも昔話っぽい雰囲気が漂ってて好き。姿が見えないながらも、彼女(吹)の存在をちゃんと認めようと頑張る青年の姿に涙だよ。
天から下がっている糸かあ。・・・なんかぬ〜べ〜に似たようなのがあったな・・・(笑)。内容は全然違うけど(笑)。
【囀る貝】
これはちっと微妙かも(個人的に、だけど)。でも、貝から波の音以外のものが聞こえたら、という作者の感性はやはり好き。おまけページも読んでて楽しいもんなあ〜。旅の記録を書いた本が出たら、絶対買うわ(笑)。私も一人旅、てか旅行が好きだけど、こう・・・色々なことを感じるものの言葉に表すことができないんだよね。いつも似たようなことしか表現できなくって、せっかく訪れたのにそれを記録して残すことができないのがもどかしいッ。
【夜を撫でる手】
何だか空恐ろしい話だった。蟲師でこういうのはめずらしいかも。「闇の中では 誰しも何かの幻(かげ)に脅える 闇に遊び 踊り戯れるは異形ばかり」これ好き。ギンコのモノローグ。・・・ギンコのではないかな、作者? ひどく日常的な場所でも、真っ暗だと怖いのはやっぱり、何かに脅えてるからだろう。最近そんな体験をしたので、印象的な文章だった。
【雪の下】
人肌ですら熱いと感じてしまう蟲に寄生された青年・・・妹の死を忘れ?受け入れられず?だったけれど、雪の降る中それを思い出し涙しているシーンがいい・・・泣ける・・・。女の子をおぶっているから涙をぬぐうことができないと思わせる感じ。いい。
【野末の宴】
光酒と普通のお酒のお話? 蟲師てあんな寄合を開いているのか。ちょっと楽しそう(笑)。ま、それはいいとして。ラストシーンが好きだ〜。何か爽やかで。ちょと違うけど(笑)。あ、成長したイサザが出てきたね。またぎみたいな格好だったけど(笑)。