グラスホッパー

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)

買った直後少し読み進めてたのだけど、そのまんまになっていたので最初から。とりあえず思ったのは、このストーリーの中で、一体何人が死んだんだろう…人死にすぎ!と。メインの登場人物が全員殺し屋(種類は違うが)なので、それはそうかとも思うんだけど…。びっくり。伊坂氏の作品には少なからず悪が潜んでいるけど、これは前面に出した感じ。
あと、現代の物語なのだけど、別次元の話に見える。半パラレルみたいな…。それはやっぱり、登場人物が全員殺し屋といった、社会の裏側的なものがストーリーの中心だからかなあ。不思議な気分で読み終えた。
でこの作品。個人的には☆二つといったところかなあ(☆三つ中)。淡々と進んで、淡々と終わった印象。基本淡々と進んでいく氏の作品だけど、山場が無かった感じが。ラストはちょっと「えぇぇぇぇぇぇぇええええ」だったし、魅力的な人間がいっぱい出てきたのはすごく良かったのだけど。
ではメインの登場人物三名の印象を書いてみよう。
「鈴木」妻の復讐のために「令嬢」と言われる組織(会社)に入る。しかし仇である男が目の前で死んだ。何者かに押され、車にはねられ。令嬢の女性社員に言われ、押した男(押し屋)の後をつけるわけだが…。女性社員との問答のシーンはヒヤヒヤしたけど、その後の展開の方がドキドキしたし、面白かったなあ。押し屋(?)一家とのやりとり。出てきた中ではこの人が一番可哀相だった気がするけれどね…。生き残った上に、幻覚に飲み込まれようとしているとこで物語終わったし…。
「鯨」自殺専門。彼の目にとらわれると(見ると?)、対象人物は途端に観念してしまう、不思議なオーラを持つ人物のもよう。勿論皆が、あっさり自殺するわけではないけれども。何か、イメージとしては映画「クローズゼロ」のリンダマン(笑)。勿論見かけのイメージ。この人は完全に幻覚に飲み込まれていて、何だか痛々しい印象…。これまで自殺させてきた人の幻覚を見、会話しているわけだけど、結局自分で喋ってるということで…。
「蝉」ナイフの使い手。若者。見た目を勝手に想像してできたのが、髪型は茶髪でちょっとパーマがかかってる。服装はTシャツの上に暖色系のチェックのシャツで、ボトムはかなり布の余ったデニム。に、履き潰されたスニーカー。一言で言うと、ストリート系だな(笑)。この人が死んだのが、一番驚いたかも。死にそうにないタイプに見えたし。
他にも、思わぬ伏兵「スズメバチ」や蝉の上司「ジャッククリスピン曰く…」も良かった。スズメバチの描写はほとんど無いけど、さりげなく伏線が張られてた。おおおお…。ジャック〜は架空のロックミュージシャンだけど、なかなかどうして(古い?)、いいとこを突いた言葉の数々。付箋でもはっとけばよかったなー。
ここまで書いて、後何を書いていいのか分からんくなってしまった(´・ω・`) 何だろう…読み終えたものの、いまいちこの作品を掴みきれていないのかもしれん。でもとりあえず言えることは、この作品は物語の大筋というよりも(そもそも大筋が何なのかもはっきりしていない)、小さなやりとりなどを一つ一つ楽しめるもの、ということかなあ。