パーフェクト・ブルー

パーフェクト・ブルー (創元推理文庫)

パーフェクト・ブルー (創元推理文庫)

持ってる本と表紙が違う(´・ω・`) 手持ちのは、ワンコのイラスト。小さく野球選手も。こっちの方がいいね。
この本を買ったのは大学時代(大学生協のシールが貼ってある)で、もう4年くらい前になるのかなあ。積み本を消化しよう!と本棚を眺めて選び、読んだ。
あらすじ。練習用の人形が燃やされた事件の後、一人の有名高校野球選手・諸岡克彦が殺害された。明るい未来が開けていると思われてた人物だったが、なぜ殺されなければならなかったのか。一体誰が。この事件を、親子経営の探偵事務所の人間(+ワンコ)と、被害者の弟・進也と共に捜査する。また一方で、製薬会社の人間もこの事件に関わってくる。彼らの狙いは何か。
一つの事件も、家族側と製薬会社側とで全く見方が変わって、すごい構成だわ!と感服しちゃった。一人称がワンコてのも新鮮だったなあ。私より頭のまわるワンコがいるなんて!みたいな(笑)。とはいえ、イメージ的にはマサ(犬の名前)はおっちゃん(笑)。それと弟・進也のガキ大将ぶり。生意気だけど、突き抜けてて嫌いにはなれない感じ。しかし兄弟そろっての実直さは、何となく目を背けたくなってしまう。それじゃこの社会は生きていけないぜ的な(謎)。若さっていいなとも思えるし、逆に怖い。そう思ったのは、製薬会社とのイザコザを見て(読んで)。
さてネタバレ。未読注意。
解説で宮部氏の作品には爽やかさがあり、読者が読後に後を引くものがないのが良いとあるのだけど、果たしてそうなのかなあ。諸岡一家の崩壊ぶりは、かなり重く響いた。母親が病院に入ったこともそうだし、父親のしたことも。でも確かに暗いだけじゃないのが救いなのかも。進也は強いし、探偵事務所はあったかいし。ラストもよかったな。進也のセリフ。主役(?)の調査員・カヨちゃんに「お兄さんを尊敬してた?」に対する答え。「尊敬しても、憧れてもいなかった。ただ大好きだった」これいいなあ。色んな言葉を並べ立てるより、気持ちが伝わってくる気がする。
あと、この作品で「大人と子どもの違いとは何ぞや」に対する答えの一つが見えたような気がする。
幼い頃に、ドーピングではないけれどそういった薬物を知らずに与えられていたことを知った克彦は、自分には何の落ち度もない、世間に知られても痛くも痒くもないと、両親に言った。逆に父親は、克彦だけでなく当時の野球チームにいた他の子ども達大勢にどんな迷惑がかかるか分からないと説く。どちらの言ってることも正しいけれど、やはり父親の考え方に「そうだ」と思ってしまう。物事を広く見れるかそうでないか。そこが、大人かそうでないかの違いのような気がする。
このシリーズは、あと一作あるみたい。積み本をある程度消化したら読んでみよ〜。