黒猫の三角

黒猫の三角 (講談社文庫)

黒猫の三角 (講談社文庫)

森氏の新シリーズ(Vシリーズ)に着手。S&Mシリーズも読み終えたことだし。
今度のシリーズはどんな人たちが出てくるんだろう、ドキドキ…という心境で読み進めていったのだけど、いきなり名前が覚え辛い! こんな苗字あるんだろうか(笑)。
小鳥遊練無、香具山紫子、瀬在丸紅子、保呂草潤平…など。タカナシネリナ君、カグヤマムラサキコさん、セザイマルベニコさん、ホロクサジュンペイさん。特にタカナシ君の名前は性も名も漢字がすごい。
2作目まで読んだけど、レギュラーはこの4名。それぞれが個性的で、意外と名前はすんあり覚えることができた。
タカナシ君は女装が趣味の可愛らしい?男の子。んでもって医学部だし頭いいんだろうなあ。紫子、通称シコさんは関西人の大学生でムードメーカー的な存在。気に入った男性にはすごく積極的。紅子さんは、美しくて頭脳明晰なバツ一子持ちの女性、ホロクサさんは探偵。
森氏の小説に出てくる人たちてのは、総じて冷静な印象があるのですごく好き。我を失って大騒ぎする、ていう場面…ほとんど見たことない気がする。冷静でいて、頭の回転も速い人が多いし。
んでVシリーズは前シリーズとは違って、理系特有の匂いはほとんどしない。でも、大学生の雰囲気がすごく漂う、何か懐かしい気持ちになる。
さて、この小説。4人が住む地域で一年に一度必ず起こる殺人。それぞれの事件は無関係かと思いきや、不思議なつながりがあった。ホロクサ探偵に依頼した婦人は、次に狙われるのは私ではないかと心配になり、護衛を頼んだけれど…4人が様子を伺う中、殺されてしまう。カトゴライズすると密室トリックをあばく系のお話。
以下ネタバレ注意であります。
まさかの犯人だったわ…。全然分からんかった。謎解き場面である、ホロクサと紅子が居酒屋で語らうシーン、何だかすごく好き。物語序盤で、紅子がホロクサのことを「大嫌い」と言って、わーヤな女だなと思ったもんだけど、最後にもう一度「大嫌い」と言った時は、すごく気分が良かった。紅子かっこいい!
それにしても自分勝手としか言いようの無い動機である。こう思ってしまうのはナンセンスだ、と登場人物に言われてしまいそうだけど。でも常人にはとても理解できない境地。理解したいとも思わんが。意味のないことだと考えながら、理屈をこねる犯人はやはり、殺した動機を正当化したいのでは、とちょっと思った。
Vシリーズ、恐る恐る読んだけど、好きだわ。紅子が一番好き。大学生2名が仲良くするのも、何か分かる気がするなあ。
1999年5月刊行。