読書感想文(二冊)

8の殺人 (講談社文庫)「8の殺人」 我孫子武丸
全体的な感想は、「ふーん」です(苦笑)。何から何まで、特に突出した点があるわけでもなく、「ふーん」という感じ。活字マニアでもなく、推理マニアほど推理小説を読んでない私でございますが、こんな感想でした。
推理役も、私の嫌いなタイプで(苦笑)。主人公の刑事の弟と妹(ともに二十代)が、まぁ…推理してくって形なんですが。一般人がずけずけと事件に口を出してくるタイプって、あまり好きじゃないのだ。まぁ……ほとんどの小説がそのタイプだと思いますが、違うのです。なんか……文庫の裏表紙の小説紹介文に、その弟妹は推理マニアって書かれてて、ま、その通りだったんですけど、読んでて、こいつら何様じゃ、と。主人公刑事(彼らの兄)も、こいつらに命の尊さを語っても、聞く耳をもたないだろう、といった感じのことを思ってまして。なんだろう、こう…事件にたいしてミーハーというか…うーむ。でも今まで読んだ小説も、命の尊さ云々は重要視されていたことは無かったような気もするし、肩書きは探偵であったり、本屋の主人であったりで、警察官ではないのですが。……この二人は好きになれん、と思いました。終盤はその弟の推理&講義が長く(てほどでもないか)、なかばイライラしながら文章を追っておりました。
もう一つ。推理小説にしろ何にしろ、登場人物に作者自身の物事にたいする考えやそれに付随する知識などが、会話なり思考なりに含まれてるじゃないですか。私はたいがいそこに引き込まれたりするのですけれども。それが無かった。ただ事件が起こって、捜査して、犯人推理…て感じで。読んでてつまらなかった。だから「ふーん」という感想。トリックや動機もちと…えー?みたいな。読者の好みそうな、いわゆる逆転、というのがこの小説にも含まれてましたけれど、やっぱり「ふーん、違うんや」……というか、そう思うまでもなく読み流してました。
…えっらそーなこと書いてますが、読者の感想ですんでね。じゃあお前が書いてみろよ、ってな愚かな突っ込みはスルーします(苦笑)。なんかもう、とにかく普通だった。



人形はこたつで推理する (講談社文庫)「人形はこたつで推理する」 我孫子武丸 
このシリーズでは、探偵役は腹話術師の使う人形ということで。鞠夫という名前もナイスですが、いーい性格してます(笑)。もちろん、腹話術師の人形ですから、実際推理してるのは人間なのですけれど。ところがその腹話術師、なんとも冴えないのですねぇ…鞠夫に比べると。風貌は、かっこいいという風な記述がされておりますが。
推理とともに、もう一人の登場人物である女性との恋の進展が気になります(笑)。
推理に関しては冴えない男が、鞠夫になった(なる…というか)瞬間に頭脳明晰になることについては、本文中に説明がなされています。彼女(妹尾睦月・通称おむつ)は、二重人格だというふうに言ってますけども、私はちょっと違うんでないかなぁ…と思ってます。説明はできないけれど。
で。この4つの中で一番好きな話は、「人形は劇場で推理する」です。まぁ…ね、背筋の寒くなるというか…嫌悪感が走るというか…そんなお話だったのですが、この中では唯一推理小説、て感じがして。…なんか偉そうなこと書いてるなぁ、自分(苦笑)。
このお話を読んでて思い出したのは、「あやつり左近」ですな。話それるけど、なんであんな短期で終わっちゃったのだろ。単行本も四巻までで、ラストといえるラストもないままいきなり終わってて。あれもったいないよなぁ。