読書感想文(二冊分)

放課後 (講談社文庫)「放課後」東野圭吾
女子校を舞台に起こった二つの殺人事件。そして命を狙われ何度も危険な目にあっている高校教師(主人公)。この二件は何か、関連があるのか。魅力ある数名の女子高生達とコミュニケーションをとりながら、事件は解決へと向かっていく…。以上、稚拙なあらすじ。
事件のメインは密室トリックとアリバイ、そして動機。この動機については、結構問題視されていると思いますけれど。私は思わず眉根を寄せてしまいました。そういう目に合うようなことが果たしてあるのかどうかは別として、何とも不快感を感じてしまいました。それは作者に対する不快感でなく、あくまでもストーリーにおいて。もし私がそんな目にあったら、と思わず考えてしまいました。その結果出た結論は……「わからん」。合いたくもないけれど、実際にそうなってみないと分からないです(当たり前っちゃ当たり前の意見だ)。
次々に登場する生徒達が魅力的でした。偉そうな言葉を借りると、「人物が書けている」なぁ、と。「女子高生」がちゃんと(?)「女子高生」っぽい。悪い意味ですごくクール。しかし、この話がかかれたのは今から十年以上も前だけども、現在の彼女達と重なるところはあるのかなぁ。ま、様々な女の子達がいるのだろうが。うーん、深い。初めて読んだのは、確か高校生の時で、大学生になって再読。読み終わった今、高校の頃はこれを読んだ後何を感じたか、気になる(全然覚えてない…)。舞台が女子校だから、あまり自分と本の中の世界とを合わせるようなことはできなかったかもしれないけれど。
で……終盤の主人公は色々な意味で痛々しいです。多くは書かないけど、可哀相というか哀れですよ。後味も悪くて。そんなのありですかー!


卒業 (講談社文庫)「卒業 雪月花ゲーム」東野圭吾
前回の話は高校が舞台。そして今度は大学。登場人物達は卒業を控えた四回生達。就職や恋愛など、まさに大学四回生! みたいな。私の現在とほんの少しだけかぶります。ま、それはいいとして。
彼らの友人の死をきっかけに、今まで何でも話せる仲間と思っていた人間関係に少しずつ、ひびが入っていく。でも、これも「卒業」というものかもしれない。…話の中にそれに似た文章があったのですが、妙に心に響きました。「卒業」と言っても色々なものがあるんだな、と。けれども、登場人物の中の人たちの妙な仲間意識には反吐が出るかと思いました。互いに秘密など持っているはずがない、と信じているあたりが。結局はそれぞれが人には言えない悩みや、話があったのだけれども。
友人の死後、その人物のことを何も知らなかったんだなぁ…と寂しくセリフを言う人たちがいますが、私はそういうものだと思う。仲が良いから全てを知りたい、知るべき…ってのは…何だか私には理解できない感情です。 …ミステリとは違う感想をつらつらと書いてしまった。今回の事件のメインは、殺人の方法と密室トリック、そして動機…かな。少し入り組んでて、自分で推理しようと思ったけど出来無かった。というか間違ってた。…犯人は合ってたんだけどなぁ。……ただ単に記憶の片隅にひっかかってただけかもだが(笑)。なんせ再読だしなぁ。今回は、違った意味で後味が悪かった(苦笑)。どんまい!!