読書感想文(三冊分)

倒錯のロンド (講談社文庫)「倒錯のロンド」 折原一
叙述ミステリと言えばこの人、と言った風なことを聞いて、読んでみた一冊。叙述ミステリであることが始めからバレているため、どんな展開になっていくかドキドキしながら読んでいくわけだけど…。読了しての感想は「ふーん…」だった。というか、よく分かりませんでした。おそらく私の読む力が足りないからだと思われるけれど、たとえ理解したとしても、「面白かった!」にはならないなぁと。話の雰囲気がどよーんとしていてテンションが下がるし(苦笑)、出てくる登場人物に色みがあまり感じられないような。
倒錯シリーズと呼ばれているので、この後にも何冊か文庫は出ているけれども…おそらく読まないと思われる。期待して書店で買ったことに後悔。古本屋で買えばよかったな、なんて。…なんだかボロクソに書いているような気がする。ま、いいか。


半パン・デイズ (講談社文庫)「半パン・デイズ」 重松清
先日、大阪から帰る時(バスの中)に一気に読んだ作品。私が重松清にハマったきっかけとなる小説*1。話全体に漂っている暖かさに心がほわんとなった。少年と田舎…いい組み合わせだ、個人的に(笑)
主人公ヒロシの、地方に引越してから中学生にあがるまでの出来事を綴っているわけだけれど、どの話もオススメ。普通に方言を喋るようになっているのも、何だか嬉しかった(笑)。私が地方人だからだろうか。
中でも「あさがお」と「しゃぼんだま」、「ライバル」が特に好き。「あさがお」を読んでいる時、ちょうどバスは福井県をはしる高速道路を通っていて、しかも馴染み深い店の看板が見えて(明るかったら実家も見えたかも)、何だかすごーく感傷的になってしまった。おばあちゃんに会いたいなぁ、もう四ヶ月も会ってないよ…とか色々考えたりして。「あさがお」と私の実家は全然関係ないけれど、そう感じさせられちゃった。作者の表現力に脱帽。
全体を通して、小学生の男の子ってこんな感じなのか〜と学んだような気がする。私は女なのでそう思うわけだけど、真偽の程はどうなんでしょ(笑)。


ナイフ (新潮文庫)「ナイフ」 重松清
非常に、非常に読むのが辛かった。途中で何度も本を閉じたくなってしまったけれど、ぐっとこらえて一気に読了。おかげで睡眠時間が、予定では八時間だったのに四時間になってしまった(笑)。
キツさとしては「ワニとハブとひょうたん池で」「ナイフ」「キャッチボール日和」が突出していたと思う。どれもイジメを前に前に出しているから、それを表現している箇所や登場人物のセリフに思わず顔を顰めてしまう箇所がいくつも…。ああでも、表題作の「ナイフ」はイジメというより、その父親の苦悶がメインだから違うかも知れない。…が、その父親自身が痛々しかったので読んでてキツかったのは事実だな…。
面白さを求めるためとはいえ、こんなイジメが本当にあったら世も末だな、と思った。子どものやることだから、とも言えるけれど、いじめられてる方からすれば冗談じゃないし。よく言われる「いじめられる方にも問題がある」というセリフ、この言葉、私は断固として肯定しません。問題があるとしても、いじめられている責任をかぶせるのは問題外。だから…というのも違うかも知れないけれど、作品の中でイジメを行っている人が上記のセリフを言った時は、なんともいえない不快感を感じた。やっぱりそんな言葉は間違っている、と確信させられた瞬間。
んで、「エビスくん」。作者が一番気に入っている作品ということで。やはり途中は読むのが辛かった…けど、物語終盤はい〜い話になってるね(^^) エビス君がいい奴だとは思わないが、まぁ…うん(何だ)。何だか言葉にできないっす。

*1:初めに読んだ「舞姫通信」はテーマが重かった…