ダヴィンチ・コード

原作を読んでから、映画を見た。
読み終えた時点で、これを映像化したのか…いっぱい端折ったんだろうなあ、と思ったのだけど、まあ、その通りで。
これで1700円は高かった、そして160分は退屈であった。
未読だったら楽しめたかも知れないけど(キリスト教の知識はそれなりにあるので)、その場合はストーリーを把握出来る自信は無い。というか、原作未読でキリスト教とかその辺の知識がまったくない人(歴史嫌いの人とか)は、映画だけ観て果たしてどう思ったんだろうね。「教会」が主語になってる時点で、「は?」とか思ってそうである。ま、そんなことはどうでもよい。

中身の感想(ネタバレ注意)。
とりあえず、色々と説明不足ではないかなあ、と。せりふに一言二言付け加えるだけで、より分かりやすくなるんでは?と思われるシーンがいくつかあったので、そこんとこちょいと残念。その割に、ラングドンが井戸に落ちたエピソードをやたら強調するなあ、と思ってたんだけど、「要は何を信じるか」とソフィーにアドバイスするシーンに繋がっていたので、なるほどーと。
…不満点を書き上げてったら長文になってしまいそうなので、箇条書きで不満点を挙げよう。
・とりあえずアリンガローサが濃ゆい。
・ソフィーが賢い女性に見えなかった(私だけかも知れんが)。
・シラスの過去が分かりづらい!
・だからアリンガローサを撃ってしまった時、なぜあんなに悲しんだのか分かりづらいだろうが!!(ガッデム) シラス大事よ!
・クリプテックスが一つになっていた…。
・リー・ティービングはともかく、ラングドンが聖杯やダヴィンチ、キリスト教の歴史について、熱いものを持ってるってのが分かりにくかったような。この人、何で謎解いてるんだろう、みたいな。
・ファーシュ警部の設定が変わってましたな(びっくりした)。
・導師の存在感が薄すぎて、○○が導師だと分かった時の(一応伏せる)衝撃がイマイチ。なぜ導師と名乗っていたのか、は描かれていたけども。
・あ、原作を読んだ時も思ったんだけど、魔女狩り時に焼かれた女性の数が何百万人て、さすがに多すぎかと。桁が違う…はず。作者はどんな資料を読んだんだろ、今時。
・聖杯の場所がなぜあそこなのか、説明無かったけどいいんすかね。

こんなところかな。文句ばっか言ってるけども、あの長い話を一本の映画にまとめるには、色々と端折らないといけない…ってことで、しょうがないかなあ、とも思います。
んが!
中途半端な逃亡劇と謎解きがメインで、ソフィーとソニエール、そしてアリンガローサとシラスの関係がちぃとも描かれてなかったのが残念。すごく残念。
原作を知ってるからだろうけど、ジェットコースターのような話の流れでした。聖杯でもシラスでもマリアでもイエスでもシオン修道会でも、何か一つでも深く掘り下げて描いてくれたら良かったのになあ。どれもこれもが中途半端で、ヤマが無い…と感じた。掘り下げられていたのはラングドンの井戸落下エピソードだけ…ワオ!

ただ、良いところもあったので熱く記してみる。
あちこちで聞かれる、シラス役の方の好演!! キャストの中で一番存在感があった。何なんだろう、強い意志を秘めた表情をしているのに、悲しさのようなものが滲み出ているあの雰囲気は。悪意無く任務を遂行しているだけに、憎めない…。やってきた警官に発砲するのも、見てて泣きそうになってしまった。その後、アリンガローサを撃ってしまった時の表情ったらもう。このシーンだけで1000円くらいの価値あるわ(1700円中)。

そしてラストシーン。
ひざまずく場所が違うけど、まあ…間違ってもないからいいかなと。音楽との相乗効果もあって、鳥肌たった。原作同様、神聖さを感じられたのでグー。

シラスとラストシーンで1700円の価値……あると思おう(笑)。