冷たい密室と博士たち

冷たい密室と博士たち (講談社文庫)

冷たい密室と博士たち (講談社文庫)

二作品目読了(再読)。
一作目と比べるとやや迫力にかけるかも知れん…これは他でも聞く言葉だけど、それはしょうがないかなと。一作目の舞台は非現実的とも言える場所だったし、犯人も犯行の動機も特殊。二作目は舞台は大学の研究施設、登場人物は大学関係者てことで、身近に感じることができるだろうし(殺人事件はアレだけど)。
ストーリー。
極地研という研究施設の密室で二人の学生が殺害された。犯人の侵入・逃走経路の謎を解き明かそうとする犀川、萌絵コンビと極地研の助教授・喜多。その中、ずっと使用されていなかった部屋から発見される白骨死体。さらに時間を経て、はじめに殺害された部屋から見つかった、教授の絞殺死体。全ての死体が密室で発見されたこの三つの事件のつながりとは。情報を得るために施設に忍び込んだ萌絵にも、魔の手が…!?
例によって、取り乱す人間はほとんど登場しない森作品…という印象。淡々としているようにも思えるけれど、逆にそういうとこが好きかも知れない。さらに、研究施設の専門用語がバンバン出てくる。コンピュータ関係だったら何となく、勝手な想像でスルーできるけども、今回の用語はもう全然分からん。スルーするのはもやもやしたけど、萌絵も分かってないからいいか、と(笑)。
その萌絵はやはり、理解に苦しむファッションセンスを披露…。美人なのに勿体無いのー。変なコーディネイトでも美人の印象があるあたり流石て感じなのか…。今回彼女は、いきすぎた行動をとり危ない目にあったわけだが…県警トップの叔父に捜査資料を見せて欲しいと説得したり、やりすぎ感が。言葉は知的だから、それほど何こいつ…とは思わないものの、何か嫌だなあ。
ラストシーンは二十歳の萌絵が一回りも年の離れている犀川を翻弄したり、そこは好きだ(笑)。かけひき…とは言わないかな、でもやっぱ積極的な萌絵ちゃんだった。犀川も何か言ったれよ!とむずむずする(笑)。
密室トリックに関しては、特にびっくりするようなこともなく。ほぉー、と。怨恨関連が犯行動機。よくある話だとは思ったけれど、登場人物の隠された関係(親子とか恋人とか)を知るのは好きだったりする…(笑)。
タイトルについては、ちょっと怒った犀川が萌絵に言ったセリフ。犀川の答えは、「押し付けられたものか、そうでないか」だそう。なるほど。