笑わない数学者

笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)

笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)

第三作目読了。普通に楽しめた。トリックがすぐ分かると、あまり評価されていない作品だけど私は好きだなー。
ストーリー。犀川と萌絵は同級生の親族が集まるパーティーに招待され、三ツ星館へ赴いた。同級生の祖父は偉大な数学者、犀川は彼に会うことを楽しみにしていた。パーティーでは博士により、外のオリオン像が跡形も無く消えるという出来事が。この消失トリックの謎と、連続して起こる殺人事件、銃で狙われた青年…十二年前(だっけ)にもオリオン像消失に伴って人が死んでいたが、関係はあるのか、そして登場人物の本当の血縁関係…など色んな謎が出てくる。
再読なのでトリックはおぼろげながらも覚えていたけど、それでも楽しめた。ミステリ小説は、事件やトリック以外に登場人物の人となりや会話を読むのが面白い、と個人的に思っている。…当たり前か(笑)。森氏の作品は、前も書いたけど冷静な人物が多く、取り乱したりすることなく、取り乱してもすぐに冷静さを取り戻す人ばかりなので好き。大学生も妙に大人に感じる…日常で「ええ」と返事する大学生は大人に見える私(笑)。
この話のラストは、すべてがFになるをちょっと思い出した。読者にえ?と思わせて、そこを曖昧に終わらせる感じが。登場した数学者「天王寺翔蔵」は「誰」だったのか。この質問を犀川がした時は「ええっ?!」とかなり驚いた。結局断定はされず、そちらが「定義」すればいいという答えで終わってしまった…。私も犀川同様、あの人物は天王寺翔蔵だと思うし、実際そうだったんだろう…ということにした。しかしこの博士の価値観は大変特殊だったな…。
殺人の動機は怨恨…なんかなあ一応。ちょっとぼんやりしてる印象かも。でもああいう人、嫌いじゃない。
森氏の作品で好きなとこ、もう一つあった。各節の締めがイイ。犀川のセリフの時は特に。
さ、次は第四作目だー。