D坂の殺人事件

短編集! すーっごい面白かった!! 好きな作品だけ感想を書く。
「D坂の殺人事件」文庫本のタイトルにもなった話。これ、事件の目撃者の証言が全然違って、一人は犯人の着物は黒、もう一人は白と言ったことの真相が面白かった。これは想像できなかった! まさかの…(笑)。それと明智小五郎の登場。金田一耕助といい、髪の毛がもじゃもじゃで、それをいじる癖があるという共通項があるけど、当時の流行かなんかだったんだろか?? それに、飄々としている印象もどちらも強いかも。殺人事件の真相は…これは恥ずかしい(笑)。そんな死に方ごめんだわー。
「赤い部屋」ラストは皮肉っぽくてなかなか。結果作り話だったけど、自分の手を汚さずに人を”偶然”殺す話、何だかすごく怖かった。
「お伊勢登場」すっげー怖いこの話…。かくれんぼで入ったところの戸が開かなくなっちゃった、というものだけど…救いがあると見せかけて、ドンと落とすのがもう。死に際に残した血文字も、男の恐怖、焦り、恨みが強く強くこもってるのが感じられて、怖かった…。女も…改めて主人を閉じ込めて、踵を返すと笑みすら浮かべて…うわあ。自分が不倫している為の殺害…女って怖い。
「虫」グロテスク…。サスペンスホラーな色合いだろうか…。精神をぬるりと触られたような、不快感のある怖さ…。あと、必死な主人公の姿が、哀れというか悲しいというか…彼がどんどん狂っていく様が、正視できない。
「柘榴」ラストにどんでん返しがある。何か好き、この話。推理を一通り終えたと見せかけて、さらに裏がある、という。犯人の方が一枚上手だった、という後味がいいのか悪いのか、どちらとも判断がつかないお話だったなあ。
防空壕」女の私は、特に何とも思わないけど、男性が読んだら「うわああああああああ」てなりそうな内容だわ(笑)。