田舎の刑事の趣味とお仕事

田舎の刑事の趣味とお仕事 (創元推理文庫)

田舎の刑事の趣味とお仕事 (創元推理文庫)

読むのがしんどかった。…悪い意味で。ページ数は約250ページと、たいした量じゃないのに読了するまでえらく時間がかかった。
面白い点は、神出鬼没でフリーダムな、主人公の妻の行動のみ。
主人公の名前は黒川鈴木。警察官。一応頭の切れる人物として評価されているもよう。読む前はこの珍名に興味をそそられたものだけれど。そしてその部下の白石(口が軽くチャラい印象)と赤木(マジメ系)が主な登場人物。性格等は彼らのセリフからしか想像することができず、人物像がかなーりもやっとしておる。外見などの描写がほとんどなかったのがでかい。読者の想像に委ねたということだろうか。それにしたって、主人公はキャラ崩壊がひどかった感。どういう人物なのかよく分からんままキャラが崩壊していくので、おいてけぼりにされた感じがあったなー。これを良しとする読者もいるようだけれど、私は受け入れられなかったなー。
この本には5話収録されているけれど、どれもこれもミステリとしてはパッとしないなーと。トリックがよく分からない話もあったっけ。本格的な推理モノでないことは承知していたから軽く読んでたけど、それにしてもなあ、と。
キャラ崩壊がすごい黒川氏は、何ともつかみどころのない人物だった。ネトゲで女キャラ使うネカマだったり(そういう趣味ではないもよう)、部下の白石が大嫌いで大人気ないこと言ったり思ったり、不思議系の天然妻に皮肉をズバズバ笑顔で言われて目を腫らすまで泣いたり、何なのこの人…?と思うばかり。正直、嫌いだわ。
部下の白石はネトゲで上司(黒川氏)の悪口をガンガン書き込んだり、捜査上の秘密を書いちゃったり、まあ馬鹿な風に書かれているのだが。それを嫌う黒川氏の気持ちはわからんでもないが。黒川氏の性格が好きになれないもんだから、「実は白石の方がまともで、バカなふりして黒川氏をあざ笑ってんじゃないの〜?」と考えながら読むと、ちょっと楽しかった。そんな展開にならなかな(笑)。なっても読むことはもう無いだろうけどもねー。
2007年刊行