妖怪アパートの幽雅な日常?

妖怪アパートの幽雅な日常 1 (講談社文庫)

妖怪アパートの幽雅な日常 1 (講談社文庫)

いやー面白かった!! 一気に読んだ。ファンタジー成分高めだけれど、現代らしさのあるシリアスな場面もあって、主人公の悩みに共感する人も多いのではないだろうか、と感じたなあ。
最近は「これ小説じゃなくて漫画向けなんじゃないの?」てなものも多いけれど、この小説はどっちでも楽しく読めるだろうなあと思う珍しい話だったなあ。!マークつきの独り言(カギカッコついてたし)がちょっと多くて、その勢いに押されることもあったけれど(これ心の中のセリフじゃないの?とも思ったり)、そんなに気にならなかった。
主人公は新高校生の夕士(ユウシだっけ)。両親は三年前に他界。親戚の家に世話になっている…が、居心地が悪く(いじめられているわけではない)、寮付きの商業高校(即戦力のあるリーマンになるため)に合格。したまでは良かったけれど、まさかの火事で入寮まで半年待たなければならん…。と、話は始まる。
しかし縁があり、値段もお得なアパートを見つけることができて、美味しい料理、団欒、色々な価値観の大人や同年代の入居者とのコミュニケーション…などなどを、夕士は初体験する。楽しそう過ぎて羨ましかったなあ、ほんと。ただ、入居者に人間は三人(だっけ)しかおらず、他はタイトルの通り妖怪とかお化けとかが普通に暮らしている。人間と暮らすより妖怪(と少数の人間)と暮らしているほうが楽しい、って何だかもやもやするけれど、それも最後で解消される。とても良い形で。ちょっと涙出そうだった。
あと、アパートの皆とは会話がとても多いけれど、同級生や先輩とは会話が少ない、ということに夕士が気付いて悩むあたりも、皮肉だなあと感じた。クラスメートに意見を聞いたものの、穿った見方をされたり、そんなの人それぞれじゃん、みたいに言われ「議論ができない」と感じている場面。現代人だなあ、とすごく感じたなあ…。もうちょっと大人になれば変わるかもしれんが、高校一年生だしねえ<クラスメート
夕士がもやもやしてたのは、寮に引っ越していた間。結局、妖怪アパートに戻ったので一安心(わかってはいたが)。早速次の日、?を買ってきた。どんな話に展開するのかなあ。楽しみ!
2003年刊行